高圧ブラスト

2023年12月23日土曜日

2023.12.23 ブラストノズルと噴射速度(2)2023年まとめ他

 ここのところ、かつてないほど毎回ブラストテストを行っている。

ロボットのブラストの方は完了し効率面や素地調整の観点から完全である確認ができたので一旦終了した。

私個人的にこの業界に入ってから30年経過した中でまだ世界中で誰も公開していないブラストに関するテーマの一つののブストノズルと噴射速度の実測測定に取り掛かっている。

ブラスト指標としては最も重要な要素なのだが、誰もやっていない。

論文では局所的にデータを付記しているものは見受けられるがそもそも、測定方法や各条件がすべて不明瞭だ。

そもそも、ブラスト処理、ピーニング処理を論文に採用しているのにその条件の中で粒子速度の実測値が記載されていない時点で再現性がないわけであり査読の時点で問題視すべきなのに「本論文の研究テーマと趣旨が異なるので回答できません」

となる。

30年間見てきた中でペンシルバニア大のゲーリー・ステファン教授のみが

このテーマに臨み結論を出してくれたのだが浸透していない。

私の方も時間、資金、装置、実験装置を自分で改造するための工作機械、溶接・金属加工、電気制御のすべての準備が整うまでにかかり過ぎた。

しかし、逆に現在他の事はすべて完了しているので全力でこれだけを行える。

派生的に連続型小型ブラスト装置CB-85-2も完成した。

ブラスト装置の方は特に興味は無かったのだが依頼が多いので趣味で製作していたのだがプログラムを毎日改変しているうちに良いものが出来上がった。実験中に吐出量などの管理もできるようにしたのだが、ブラスト装置で重要な「現場で故障しない、しても自力で修理できる」に観点を置いた。

噴射速度に関しては2024年から本格的に測定を開始するが、現段階においてもロボット用ノズルと人間用ノズルくらいの分類は可能な結果が出ている。



現在最速のノズル 同条件下で一般的なノズルに比較して粒子の運動エネルギは2倍を超えるため作業効率は2倍となるまさにAIロボットにふさわしい

養生してテストに使う

自作改造により完成したCB-85-2

自作制御盤

元圧は1.0MPaに
調整する



我々含め 世界中どこのブラスト装置メーカーや販売員の多くは自分でブラスト作業をしない。そして大抵は自動機に組み込むためのブラスト機や大型自動ラインを好んで受注したがるので作業者が防塵面を被ってやる分野に興味を持っていないしやりたがらない。

ブラスト作業者も溶接工のようにスキルと経験がアップするわけでもなくただただ、疲れるだけの作業は飽きてしまうため世界中の若者がブラスト作業をやらない。アメリカのSSPCが協力して「ブリッジブラザース」というブラスト作業者の半ドキュメンタリー番組を制作したがこれも続編もなく、華々しい自動車レストア物語や溶接工物語のようにいかなかった。

TikTokやyoutube.shortなどでも溶接工の人気はすさまじい。対して塗装工 ブラスト工は

ほとんど見たことがない。

我々も、自律型AIロボットにブラストをさせていたため、小さなテストピースもあえてロボットにさせていたくらいだ。しかし、最近は自分で開発した装置や輸入販売しているノズル、防塵面、呼吸器用エアークリーナーを確かめるために自らブラストすることにした。

防塵面は好みの差が出るがやはり個人的にはClemco AP100 CE 緑色 鉛対策アメリカ国内限定仕様 (現在廃盤)が気に入っている。

消耗品はAP100 黄色 と共通だがヘルメット内側がホールドするためのパットが装備されていたりエアー供給ホースが違う。
防塵面用ビジフィルター

現在冬なので重装備でも丁度いいが夏場はクーラーチューブなど装着してみてテストする予定。今のところブラスト自体は快適で狭いブラストルームでも問題はない。特に高圧型コンプレッサーの空気は臭いのだがビジフィルター装備なのでまったく臭わない。他の社員にもやってもらっているが問題はない。