高圧ブラスト

2018年7月8日日曜日

7月18~の展示会に先駆けてブラスト作業とロボットの生い立ち 

厚地鉄工㈱の30年以上前のカタログ

現在の自律型ブラストロボット
私が厚地鉄工㈱に入社前の、今から30年以上前、まだ別の会社に就職して毎日自動機設計開発に勤しんでいるころ厚地鉄工㈱本社にてすでにブラストルームにおける作業は人ではなくロボットがやるものだというコンセプトは出来上がっていた。30年以上前の時点でブラストルームにレールで動く自動ロボットのようなもの(多軸型ロボットでないところがポイント)を表現している点は素晴らしかったと思う。世界でもなかったのではないかと思う。ほとんどが人がブラストノズルを持って構えているのが現在でも主流だ。当時の厚地鉄工㈱は経営者層も若く社員たちも活気に満ち溢れていたのだろう、この絵を始めて見たときは先見性に驚愕したのを大学生ながら覚えている。
いい加減な場所に置きなおしてもAIが判断してプログラムを書き換えるかどうかのテスト
Sa3で処理できた。
㈱関東アスコンで発売するアルファ1ロボット ロボットをレールの載せて移動させても柔軟に対応
壁に設置してあるのはデモのため、なんとクレーンを使わず人が抱きかかえて外せるほど軽量。
まさに、この絵を漸く私が実現するとは当時思わなかったが。他にもう一つマニュピレーターの絵もあった。これは、当時は今よりもプログラミングが面倒なことがわかっていた。いずれにしても厚地鉄工㈱思考は当時の先端を行っていた。
そして、入社後2-3年後くらいの24-25年前には多目的ロボットブラスト装置として、製品化していたのである。この時のことはよく覚えている。
25年前の厚地鉄工㈱のカタログ
話はそれて余談だが当時、関東アスコンはまだ存在しておらず、私の父が東京に13坪くらいの小さな事務所を設けておりと私が厚地鉄工㈱に入社するタイミングで蘇我にボロボロの小さな倉庫を借り始めてから2-3年経ってた頃だ。私自身は営業として2-3年目なので、ほんの少しだけ慣れてきたころだった。とにかく、東京営業所は予算が常にゼロなのでる、凍てつく寒さの中ストーブすら買えず、ライトバンも最後にエンジンからオイルが吹く出して車検通過せない状態まで乗ったりで仕方なしに自分のピックアップ車に道具積んで現場に行くとかで、せっかく前の会社を辞めて少しでもやりたいことができるかな?と思ってたが全く何もできないので落胆していたさなかだったが「まぁしょうがないなぁ、以前の会社にいたころに比べておいしいものが食べれるようになったし、遊び過ぎて首になった手前贅沢言えないな」と我慢してた。そんな矢先に本社でこんな大掛かりなことが進められていることも知らなかったので、発表した時は、技術的には全くびっくりはしなかったが「なんだよ~金あるじゃん」という事だけは少し驚いた。それ以外は何も感じなかった。当時インターネットもまだ存在していなかったが、すでに多軸型ロボットは普及しており新規性はその当時でもなかった。ただし、多目的型ブラストロボットとして製造販売した会社は世界的にも珍しかったのは間違いなかった。で、カタログを配り、さんざん色々な人に見てもらった結果1台も売れなかった。25年間で普通なら20台くらい売れそうなのだが1台も売れなかった。見積や現物も見てもらったが売れなかった。ただし、客の中にはブラストロボットを見て自分でロボットを購入してブラスト機だけを厚地鉄工㈱から購入をした者は少数だがいた。いずれにしても成功はあまりしていないので普及していない。理由は当たり前すぎて、今となっては明白である。私でも絶対に買わない。いずれにせよ、私の頭の中では多軸型ロボットとブラストの組み合わせは無理だという概念が定着したのは間違いない。多軸型ロボットとブラストの相性の悪さはよくわかった。現在、ブラスト装置に多軸型が採用されているほとんどが、ブラスト処理対象物(ワーク)の脱着用であり、よくてティーチング機能を有したものがあるが、ティーチングする時点でブラスト処理対象物が限定されるため多軸ロボットの意味がなくなる。私にとって、それらは全く興味がない。面白くもなんともなく、誰でもできることなのだ。
あれから、
25年の歳月を経てようやく、アルファ1ブラストロボットと関東アスコンのブラスト装置のお見合いが成功し、今回㈱関東アスコンとして販売するわけだが、25年の間に何が変わったかをまず理解しないとまた、1台も売れないであろう。違う点は簡単に言えば25年前の車と現在の車の違う点がそのまま、反映されていると言える。外見はさほど変化はない。大きな違いはCPUと周辺ソフトの進化である。このアルファ1ブラストロボット用のシュミレーションソフトをまともに運転させるのにわざわざ、「30万もするゲーミングパソコン」を購入したくらいだと言えばわかる人にはわかるはずだ。
とにかく、ブラスト機およびロボットが無くても仕事は進めることができる概念が登場したことが以前とは大きく違う。要するに頭脳系仕事は世界中のどこでも進めることができる、現場ではそれを実行するだけでよいのだ。オンラインゲームと同じでこちらの動作状況をリアルタイムオンラインでセーバー社と繋げながらデーターを放り込んでもらうことが可能となったのだ。要するに、考えなくてよくなったのだ。現在はまだ、セーバー社がコントロール基地になるが近い将来オンサイトになることは間違いない。その礎になればいいなと言うことで日本にて販売することにした。まぁ、1台も売れないかもしれないがそんなことはどうでもよい。いずれにしても、今後これを超えるものが出るはずもない、理由は簡単で誰もこんな利益の出ない事業及び開発をやるわけないのだ。
ほぼ、運命か宿命でなければやってられないほど儲からないのだ。
下記の会社のCEO達はいずれも、私と運命的に同じ同族企業で同じ境遇である。

開発及び販売促進参加しているブラスト装置会社は


セーバー(オーストラリア、バーウエル社の子会社)
バーウエル(オーストラリア)
クレムコ及びインターナショナル(アメリカ・ドイツ)
ムンケボ(デンマーク)
関東アスコン(日本)

のみでいずれも、ブラスト業界を知り尽くしたメンバーが現在到達している最新であることは間違いない。我々が20年後どうなっているかはわからないが、少なくとも24時間交代制で夜中に人がブラストを行っている代わりにはなっているのではないか、と思いたい。