高圧ブラスト

2018年8月9日木曜日

ブラスト処理の規格について

最近よく、ブラスト処理規格、例えば代表的な ISO8501-1のSa2とかSa3についてだが、これを何か機械装置によりビジョンでとらえ、機械装置に判定してもらおうという話をよく聞く。国内外共に多い。どつぼにハマってしまった状態だ。そもそも、人がブラスト処理している場合は仕方ない。そんなにきちんとブラスト処理など人ができるわけがないのだ。だから、わざわざインスペクター制度や見本本を作成して”だいたいこんな感じでやってね。”という意味合いだったのであるが、そこに機械装置による判定という恐ろしく矛盾した行為を導入しようとしている。以前も今も私はブラスト処理方法を数値制御で行う方法しか推奨していない。現在は当然、アルファ1ブラストロボットであるが、以前は例えばブラストノズルを自動制御の軸に持たせてブラスト処理させていた。
この方法だと、まったく、処理度合いの判定はいらない。Sa3ならSa3にしかならない。

こう述べると、”機械でブラストできないところはどうするのだ?、どう判定するのだ?”と言う人がいる。だから何度も説明しているのだが、理解できない人が多い。
人でないと現在技術的、予算的にできないところに関しては所詮人がブラスト処理してるのだからそんなに、厳密な処理ができているわけがないので、今まで通り”人が判断すればいい”のだ。なんでその、適当に見本本に合うように人がブラスト処理したものをカメラにより取り込み画像解析して判定しなければならないのだ?そんなに”ちゃんとしたブラスト”をしたいなら人にやらせている間は絶対できない。人は飽きるし疲れるのだ。大抵、こんなことを言い出したり考えたりする人は、毎日ブラスト処理をしている、もしくはやらされている人ではなく、別の人だ。人の目で判断できない微妙な色合いを機械装置に任せて良いわけではない。条件が重なっているのから、単純に色判定はできない。水晶質の例えば
以前の現在は研削材から除外された山形珪砂などを使えば簡単にブラスト処理面が白くSa2.5以上に見える。そんなことを言い始めるとスチールグリッドのみでやらないといけなくなる。

どうしても、機械による判定をしたいなら、新しい処理規格を作るしかない。
従来のISO8501-1 ブラスト処理の見本本とかに準じたものではなく、新たな、例えば金属反射率とか処理面の鋭角度、粗さなどが瞬時にわかる方法で新規格を作成すべきだ。
新しい処理規格を作ること自体、日本では難しくない。ISOに準じる方がよっぽど大変だ。
まず日本で良いものができたら次に北米に持ち出す。最後にISOだが、反対が多く中々決まらない。そんなことはどうでもいい事で、便利なものができれば、必ず広まる。

しかし、将来的にはブラスト作業を人がやるケースがどんどん減っていくのに際して果たして普及するかどうかはわからない。あと30年もすれば、奇妙な形をしたロボットがブラストくらいできる時代になっていると思う。ブラストロボットのお手伝いを人がやることになるだろう、例えば研削材の集めることや、ホースのセッテイングとか。そうなると、処理規格などは必要なくなる、ISO8501-1などは元々限定はないが明らかに人がやった処理に対する見本本で、あるわけであるからである。

そもそも、普通産業処理されるものに少し錆などを残していいよ、という規格自体がおかしな話だ。はじめてこのISO8501-1を知ったときはなんといい加減な規格なんだろうと思った。日本のケレンという処理度合いはブラストの場合ホワイトメタルのみつまり、Sa3を意味していた。どうせブラストをやるんだから徹底的にやるのが当たり前だろうという性善説だ。だから、日本国内でブラスト処理の判断をインスペクター無しで統一したければSa2.5~3のみを設定すればよい。95-100%の除錆及び塗膜除去率である。Sa2とか指定すると混乱するから無にすれば良いだけだ。Sa2.5とSa3の違いなど見た目で解らない。”気持”くらいなのだ。Sa1-2という中途半端な処理度合いに関しては元請け側も期待してはいけない。そんな指定するのがそもそも間違いである。意味が分かっていれば指定しない。Sa2.5というのはSa3をもともと含まれているのである。Sa1を指定されているのにSa2.5で仕上げても問題はないのである。Sa1はSa1以上の処理仕上げの意味である。
なので、現場で差異が出ることを討論するのがいかに意味がない事かを説明しているのだが浸透しない。海外でも全く同じ経緯なので仕方なく各国インスペクター制度を作った。

日本には様々な専門学校があるが本来ならこの辺りを教える塗装技術専門学校が10件ほどあってもいいのだが無い。理由は以前はあったそうだが経営的にはうまくいかないそうだ。そんなに興味を持つ人もいないし、そんなもの自分で現場で習得するものだという考えがあるからである。工業高校だと志がまだ決定していないので無理だろう。年齢的には20歳以上30歳くらいまでが最適だ。期間は最長で1年間で十分だ。年間100日ほど様々な研削材でブラストして混合比の計算をしながらISOでもSSPCでも英文の原本を毎日読んで小論文でも書けば少なくとも海外で赤っ恥をかくれべるではなくなる。(通用するわけではないが)日本で毎年、最低10人でよいのでブラスト処理に関するエキスパートクラスを養成できれば10年で100人以上となり格段にレベルが上がるのだが現在では到底海外勢に太刀打ちできない。太刀打ちでき無いという事は、理解できないから消えていくという事だ。