8月に入ってから、暑くなってきました。
お盆休みの間にこのブログの過去ログをカテゴリー分け
して見れるようにしようかなと思います。
休み前に、日本の研削材について書いときます。
以前は、この業界にも私よりも経験、知識の豊富な先生方が沢山おられました。
研削材関係についても同様でエキスパートが何人かおられ、厳しい指導をされて
品質の良い研削材や、珪砂のように有害物質を含んだものを規格から外す論議をしてきました。
しかし、東北震災前の前5年くらいから現在までの5年の合わせて10年間が空白期間があり
アジア系海外から粗悪な研削材が流入し、日本のブラスト現場に入り始めました。
輸入販売する側も使用者側も全く無知なため安い使い捨て研削材や、汚染研削材を使用するに至りました。
しかし、私のように過去から現在に至る25年間まで技術的、現場実戦的、海外的に通じているものが他にいないため結局、指導することになったのです。
目的は
海外からの粗悪な規格外および他の用途の目的で生産された材料の研削材としての流用です。
特に現在のブラスト現場は無法化しているのでルールを決めなければなりません。
日本は、本来の資源が少ないためバイプロダクト=国家資源と考えなければならないのです。
ですから、リサイクルできない研削材を輸入するなんて言うことは、本来あってはならないのです。
また、国土が狭いためこれ以上有害物質をまき散らしてもいけません。
使用する研削材はすべて、純国産でなければならないのです。
国内に無ければ、作ればいいのです、作らなければならないのです。
私がしきりに、海外の技術を導入しているのは、すでに国内のブラスト技術が遅れすぎて、追いつかず規格外になっているためです。そのことすら知らないのが現状です。この事実を認めない人が居たら、その人が証拠です。
国内研削材メーカーはまだ、そこまで落ちぶれていません。
鉄系研削材:新東工業、アルミナ系研削材:宇治電化学、スラグ系研削材:三菱マテリアル、(日本重化学工業、現在は製造していない)、ガラスビーズなど・・・
は世界トップクラスです。
塗装=
下地処理→ブラスト装置+研削材
防蝕システム→塗装機(溶射機)+塗料(金属粉)
上記の要素の中で研削材だけが世界レベルに達していないので早急に指導しなければなりません。
ちなみに、「銅スラグ」に至っては国内評価が低く、アメリカとシンガポール向けの輸出の方が多い結果となっています。アメリカでは全体から言えば銅スラグの使用量は少ないのですが、見本としては日本のものが目安となっています。アジア向けもほぼ、日本製が銅スラグの高級品として扱われています。日本の研削材の採用において大きな問題の一つに「ブラスト作業者の感想」があることです。このことが、判断の基準を狂わせます。
スラグに関していえば、性能的にはどれも、似たり寄ったりでウインドリームのように意図的に材料を添加して成分調整をしていない限り、冷却工程を変化させても限界があります。
ブラストしやすいかどうかは、「色」だけが左右しておりブラスト面が白く出来上がる研削材は早く処理が終わる傾向があります。しかし、自動化した場合はどれも全く同じ速度となります。当然ですが。顕微鏡で処理面を観察すると銅スラグはそれほどブラスト面に食い込んでいないことが分かります。他のスラグ系の研削材のほうがむしろ、食い込んでいるのです。
このように、間違えた「感覚」が判断材料となっているため海外との格差が生じます。
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アポロ100防塵面とクールエアー冷却システムのテスト 北欧産オリビンサンド(JIS除外であるが遊離シリカは含まない)
天然砂系だがトンプソンバルブとの組み合わせで粉塵が出なくなる。白い作業服 |
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フィリピンスービック造船所 日本製銅スラグ |
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粉塵は凄いがブラストの処理速度は早い。高圧コンプレッサーで350馬力を2名で使う。
1艘のタンカーの内面で2000トン使う。この当時は銅スラグは無料だった。
これでは、日本から修繕船のブラストは消える。このまき散らし状態は、日本ではありえない。
ブラスト作業員のコストは1日2000-3000円も渡せば喜んで200m2はブラストするが、インスペクターを付けないとまずい。造船所でよく見るφ800、7m枝付きパイプをブラストさせているが、内外面合わせても30-40分で終わる。外面は2名で約10分、内面は20-30分、内面はかなりいい加減だった気がする。
仕上がりも無尽蔵にある日本製銅スラグを全開で使ってSa2以上だ。白い作業服 |
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スラグ専用バルブ、このバルブは銅スラグ専用として弊社が用意しているが、同型を採用していた。多少の水では閉塞しない。壊れないし、とにかくブラストしまくる専用。ブラストノズルサイズはφ12~威力が出る。 |