高圧ブラスト

2017年11月29日水曜日

459話 国際ロボット展 2017

本日、ビッグサイトで国際ロボット展示会に行ってきて、すべて見てきた。
ロボット自体の精度や剛性は全て水準が高いが、やはりまだソフトウエア技術が追いついてないのは否めない。日本にはこの関係の技術者が少ないのだろう。全て高水準なのだが、現在のロボットは全て目的に合わせてソフトがカスタマイズなので人間のように例えば、コンビニのバイトを教えてマスターした後に牛丼屋のバイトを教えてその後にブラストの撃ち方を教えてできるようになるような代物ではないのである。牛丼屋のロボットは極めて牛丼を作るのに特化するだけであり接客や会計などは絶対無視なのである。
結論から言えば
現在のところ製品販売されているブラスト処理ロボットにおいてはセーバとシドニー大学チームの自律型ロボットのマッピングジェネレートがブラスト処理には世界一進んでいるのである。ちなみに安川や川重なら更にそれを超えたソフトを組み込めるのであろうが、技術者の数に余裕がない。アメリカにも更にまだたくさんいるのであろうが、協力する会社が無いのである。現在のところブラスト作業をロボットに置き換えるためのコストバランスではまだ人間に作業させておいた方がかなり勝っているのであろう。塗装や溶接ロボットはすでに人間より上に行っている。ただし自動車関係の部品が基本である。毎回、対象物が変わるわけではないという事だ。

産業用ロボットは現在まだ精度と動作速度と検出は人間を超えたが判断の応用と汎用には及んでいない。やはり、特化させなければならないようだ。以前の様な多軸が売り物の時代は終わっているがまだ、”融通”という認識は無い様である。
セーバロボットが現在エアーブラスト処理では唯一の物であることが判明したので安心した。





2017年11月26日日曜日

458話 近未来のブラスト処理の方法

巷ではよく近未来に無くなる職業は?と言うトピックがあるが、日本においてはエアーブラスト処理方法は作業者=人間がやる事が無くなる、減少する職業であると断言できる。当然すべてではないが、8割は必要なくなる。更に輪をかけて減少するの職業として「インスペクター」である。今まで100年間以上「ブラスト処理」は行われていたので「ブラスト処理」が無くなる可能性は低いがブラスト処理を行うブラストマンは必要なくなるだろう。30年以内に日本国内では半減する事は間違いないと言える。逆に新興国などのブラスト処理自体がまだ未開な国では盛んに今後30年以内に作業者によるブラストが増えるだろう。世界でも日本は特に品質とコストが高い国と言われてきているが、近年検査などを怠ったり、改竄して問題となっている。これは今後確実に改められるだろう。そもそも検査自体を人間にやらせること自体が無意味極まりない事で世界に比較して群を抜いた日本の自動車メーカーの技術者が最終検査の人間チェックの阿保らしさを認識しているからであり、更に我々日本国民がそのニュースを聞いても何も感じていないことが証拠だ。
話は元に戻るが、ブラスト処理及びピーニング処理は全て規格ないし、それに準じた処理だけを求められているので作業者によるブラスト処理が自動化されたブラスト処理に勝ることは決してない。なぜならば、そこまでの超人的な品質を求められていないからだ。
単純に”コスト”だけを比較しているだけなのだ。作業者<<ロボットなので現在は成り立っているだけでロボットのコストが低くなった時点で逆転する。特に日本が世界で一番早い国になるだろう。日本ほど歴史的に移民や外国人を受け入れない国は類を見ないしその反面これほど文化レベルが高い国はない。世界一ロボット化が進みやすい国である。似たような国の第二にはイスラエルがある。世界中のユダヤ人移民で成立した国家であるところが日本と全く正反対である。しかし、周囲を反イスラエル国家で固められており状況は最悪だが恐ろしく軍事技術レベルが高い。戦闘要員としてのイスラエル人一人の命が重いからだ。周囲の国家はイスラエル人が一人でも少なくなれば攻め入ることができる。それをイスラエルは超人的な技術力で人間の少なさをカバーしている。とにかく、コスト度外視でロボット化や無人化を進めている。我々日本人とは状況が違い過ぎるのだ。しかし、日本もこの生易しい状態が長続きする保障は何もない。日本の現在は無駄に人口が多いが近い将来、若者の人口が減少することが決定している。老人が多くなるから医療及び介護産業が盛んになるのだがこれは避けれない。本題に戻るが現段階でも明白な事実であるブラスト処理作業の自動化及びロボット化及びAI化である。先駆けとしては現在スチールグリッドやアルミナを使用しているエアーブラストルームと言われる作業者が防護服を着て中に入ってブラストするタイプのものはロボットに全て入れ替えなければならなくなる。そもそも作業者がやっている意味が全くないし品質も作業者の方が悪いことが明白である。更に近年は、労働安全基準監督署への集塵機設備の設置関する届け出の際に地域差はあるが指導指摘が厳しくなってきている。具体的には通常、局所排気設備の適用除外事項としてブラストルームを設置する際に申請するのだが、

「防護服や防塵マスク、防塵面などをかぶって、なぜそんな作業を人間にやらせるのか?それは認められません。」

と言われた。世界中の日本以外の全ての先進国でもエアーブラスト作業のブラストルームは認められており法制化もすべて完了して安全に作業化されている。特にエアーブラストルームは研削材自体鉄製のスチールグリッドを使用し被ブラスト物も鋳物製なので有害ではない。当初は私も意味と意図が解らなかったが暫くして意味が解ってきた。これは労働基準監督署の担当の人の見解ではなく日本の社会的な感覚の判断なのであろうと。長年ブラストに関する仕事をしていると一般人からすれば異様な作業風景もごく自然な作業風景に見えてくる。そこで私もハッと思い始めてしまった。覚醒した感じだ。ブラストにおける大半の問題は作業者が絡んでいることが多い。品質、作業に関する安全面、有害物質に対する暴露、など。近未来の日本の工場内でのブラスト処理を行わなければならない会社においてブラスト作業者が一人も必要ないと言える。ブラストノズルもφ17-19mmでコンプレッサーも300-500馬力を用意すれば文句も言わずに昼夜問わず24時間作業するし、そもそも照明も集塵機も必要ない。もう空想の世界ではなく現在の技術でできてしまうのである。コストが少し高いだけである、スマホの繁栄を30年前に誰も想像できなかったように30年後のロボットコストは想像できないが高くなることはない。今後はブラストの上手い下手を競ってる場合ではなく理論的に噴射速度と削食角度の研究やブラスト研削材一粒のエネルギーによる研究をすべきである。

2017年11月22日水曜日

457話 エアーブラスト処理のロボットによる最終解決方法

今後の未来に於いてのエアーブラスト処理の最終解決方法を考えていると、絶対に錆びない材質であり強度が今以上か現在の鉄と同じかそれ以下のコストで開発製造する事ができれば、素地調整などが必要ないため防食のためのエアーブラスト処理この世から消えるであろう。せいぜい、ガラスなどの梨地の模様つくりとかコンクリートの目粗しとかは残るだろうが塗装においてはラッピングフィルムで十分になる。いずれにしても、コストが低くなり広がるまでには相当の時間が掛かるので、エアーブラスト処理の方法で安全で確実な最終解決方法を考えるとロボットに置き換えるしかなさそうである。
当然、今までの様なプログラムを人間がいちいちその都度入力するようなタイプでは使い物にならない。とにかく、今までのロボットと言われる多軸型装置はあらかじめ動作をプログラムしなければならなかった。例えばブラストホースを固定して多軸ロボットに円錐をブラストさせようとしたとき、正面から反対側の面をブラストするとき固いブラストホースをねじらなければならない。人間なら必ず無意識に手の力を緩めて一旦ねじれを補正させてつかみ直す。大型の物なら人間が対象物の反対側に回り込む。その時必ず”たぐる”行為をしている。この何でもない操作一つとっても毎回、今までのロボットならプログラムしなければならない。ロボットエアーブラストが普及していないのがこれが原因である。要するに”プログラム”である。プログラムレスであれば瞬く間に普及する。当然装置コスト面が重要だが日本の場合はコストが高いのでさほど問題ではない。今、人型のモーション制御で一番進化しているのはボストンダイナミクス社のアトラスである。この会社なら現在の技術でもエアーブラストの作業位は簡単にプログラムレスでできる。コストは度外視だが。すでに不可能ではなく可能になっている。ロボット化すれば、労働安全衛生に関する鉛、PCBの有害物質から作業者が解放される。真っ暗中でもSa2.5が確実に処理できる。いいことずくめである。

現段階の場合
現在、エアーブラスト業界の中で最も最先端の作業ロボットはクレムコとセーバー社の共同開発のアルファ1型である。昨年からクレムコ社とクレムコの代理人の私の方で日本でのデモを行うために話を進めていたがようやく話が付いた。とりあえず、全運転マニュアル200ページ分、ビデオなども受け取ったが、詳細打ち合わせを今後3社で進めなければならないためシドニーに数回往復することになる。その後、関東アスコンでブラスト処理のオリジナルのパラメーターを作成してからプログラムレス化する。ロボットと言ってもAIで自分で勝手にブラストする訳ではない。自律型6軸ロボットだが視覚認識させてマッピングするタイプだ。パラメーターはタッチパネルで入力する。
屋外型ロボットとしてではなく、まずは屋内ブラストルーム用の多品種対応型とする。



2017年11月18日土曜日

456話 大型ショットインペラーの内部構造 インペラーローター部

関東アスコンで輸入販売しているインペラーユニット
7.5~22kwまであるが15kwがいいらしい。

ローターユニット





 エアーブラスト装置と違いショツトインペラー装置は心臓部のローターユニットで全てが決まる。エアーブラストの場合圧縮空気を使用するため心臓部にあたるものが、ブラストタンク本体となるため能力差がメーカーにより雲泥の差となるがショツトインペラーの場合世界中の差はほとんどなく、ブレードと呼ばれる羽が消耗品のため価格が安く耐久性があるかどうかがポイントになる。であるので、ローターユニットと”鎧”と呼ばれるハイマンガン鋼やハイクローム鋼が入手できれば誰でもショットインペラー装置は作成できる。
エアーブラストのような第二種圧力容器のような溶接にボイラー溶接のような技術もいらない。かといって、小型のインペラー部が1ユニットしかないような標準機と言われるような通称T-0型エプロン型ショツト機を製作することは意味がない。買った方がましだ。
中国製のエプロン型ブラスト機ならタイで50万円位から新品が手に入る。
日本では150-200万円前後位からで手に入る。便利さから言えば日本製でも十分コストバランスは合う。日本では装置コストよりこのような装置を使うバイト代(正社員にやらせる次元のコストバランスはない)の方が高くつく。エプロン型ブラスト機の場合メインでは錆の除去で大型ボルトや歯車が主体でぶつかって傷がついても問題ない部品に向いている。そもそも、ボルトの再利用などは本来常識的にはやってはいけないのだがやっている場合がある。タイやベトナムあたりでは安いモンキーやレンチ工具の生産する際のメッキ工程の前処理に入れている。時給100-200円位で5台くらいの装置に張り付いて30kg×5台×10サイクル/時間=1.5トン/時間の処理をする。安い工具1個当たりの処理費は数万個レベルで計算できるようになるので100円ショツプに並ぶ工具が生産できる。長くなったが要するに小型のショツトブラスト機など自作しても全く意味がなく迷わず新東やニッチューなどのメーカーから商社を通じて購入するのが得策である。日本でコストバランスの合う仕事があればの話であるが。
反面、上記のような大型ショツトインペラー装置はもう、日本国内には安く設計製作できる会社もなくなってしまった。すべてが特別設計製作品である。価格も特別価格であるから尋常な価格ではない。しかし、どう見ても語弊はあるが誰でもできそうな感じなのである。なぜそんな事が言えるかと言えば私は過去にサカエ産業という(現在は閉店)横浜の町工場で職人さんが3人でショットインペラー機を手作りで製作していた会社に良く出入りしていた。全くいわゆる現在のような工作機械らしい機械がなくガス溶断とマグ溶接機、手曲げロールベンダー、中古の6尺旋盤、グラインダー、回転切断機しかなく全部合わせてもヤフオクで100万以下で揃えられるもので次から次へと小型のショツトブラスト機を作成していた。その時、幅が500mmくらいの板をブラストする装置を作成したのだがインペラーも2基、3.7kwの物を装着したものだった。初めから完成までずーっと定期的に見に行って、完成時の試運転も立ち会った。たいした図面もなくできてしまった。それに感動して色々なものを私から依頼して当時は作ってもらった。もうこのような町工場は日本にはない。



当時500万円前後で横浜でまともな工作機械なしでオールハンドメイドで作成してた。もう、日本にはこんな会社は存在しない。

工作機械が無く手曲げ及び手溶接

工作機械が無いのがわかりやすい、ここが下請けなので下請けに出していない。


T3型 手作り サカエ産業製



2017年11月11日土曜日

455話 大型ショツトインペラーブラストシステム 自動


ショツトインペラーブラストシステムはエアーブラストシステムに対して工場内でブラストするには非常に有効な装置である。
構造はインペラー、ローターがモーターにより回転しておりそこにスチールショツトを流し込み遠心力でワークに叩きつけるという至って単純な構造のため大量に処理しなければならない物には有効だ。主に、H鋼や平板、鋼管などに対してはエアーブラスト処理などは及びもつかない。理論的に最大速度70-80m/sしか出ないため塗膜剥離作業には向いていない。ミルスケール落としなどのいわゆるISO-JIS規格用語の「工場ブラスト処理」と言われるたぐいだ。
大量に大きな物の部品をブラストするには、ショットブラスト装置が有効なのだが
日本では大手の会社でしか見かけない。
理由は一億円以上するからだ。
実際問題、複雑な装置ではないのだが日本では不況が多く、この手の装置を手掛けるメーカーが現在1~2社の状態で一品もの特注物件となってしまった。
しかし、海外ではいまだに、標準機の領域であるので装置としてもこなれている。
今回、日本国内向けに関東アスコンの方でパンブラストから大型自動ショツトブラスト装置の導入を計画している。
2m-2mくらいまでのワークなら何でも入れることができる。
処理グレードはSa2.5-3までは可能だが、陰になるところはひっくり返した方がいい場合とエアーブラストで処理し直した方が良い場合がある。大径パイプも簡単にブラストできる。
よく
「どうせエアーブラストで処理し直すのだから、初めからエアーブラストで全面処理したほうが良いし、早いよ。」
と言われることがある。

実はこれは日本では全く意味が通らない。しかし、海外の場合は意味が通る。
前回、納品したミャンマーのような国の場合、ブラスト作業者の一日のコストが2000円/日(賃金は800円/日)なので日本の平均的最低賃金の28000円/日に合わせれば14人雇える。
実際には日本で1人でやるところをミャンマーで4-5人で同時ブラストするわけでそれが、3交代して行くので、複雑な形状のワークの場合は
初期投資含めても下記のような装置を導入するよりも早い場合がある。
しかし、日本ではコストも含めて絶対に成り立たない。
特に、建築関係部材や船の外装部品、配管部品は成り立たない。

処理グレードの中で、エアーブラストの強みは塗装済みのワークの再塗装に伴う素地調整なのである。
ショットブラストで処理する場合は主に黒皮除去 Aグレードから浮き錆B~Cグレードが適している。なので、
日本をはじめとする工賃が高い国の船、橋梁、重機、プラント設備などの製造で新品の製造工場ではシヨットブラスト装置を導入するのが常識なのである。

ところが、現在その現象が反転している。
例えば中国やインドのように人口は多く日本よりはコストは低いがミャンマーやベトナムと比べればかなり高くなってしまっている国ではさかんに、大型ショツトブラストマシーンの導入が行われている。反面日本のような、かつて重工業が盛んであったが、度重なる不況と労働者のコストの増大により廃業が続き、今になって景気が良くなってきてしまい、大型ショットブラスト装置を製造するメーカーもなく、古い設備も処分済みのため止む無く、簡易で安く手っ取り早く仕事ができるエアーブラスト処理の設備を導入がこの3-4年間で進んだ。しばらくは、まだ進むと思われる。このまま、日本の景気が悪くなればコストバランスが合うので良いのだが(大抵の経営者はそう考えている)そうでない場合はパンクする。なぜか?実はエアーブラスト処理を人間にやらせている場合、最大の問題にぶち当たる。それは、飽きるのだ。厭きると書いた方がよい。
屋外の橋梁の塗り替え工事の場合はなぜ飽きないか?それは移動があり、街や自然の中で仕事をするため「旅」が伴い楽しさがあるからやってられるのだ。
それが来る日も来る日も、狭い部屋の中で毎日、数時間も鉄臭い香りの中で同じ鉄板相手にブラストだけをしていて厭きないわけがない。厭きたら最後、進展や希望は無い。
暗く、つまらない作業に喜びなど感じるわけもない。

では、解決方法はどうするか、
簡単な方法が一つだけある。いや、一つしかない。
現在、ブラスト処理業が現役の国から装置を導入するのが一番良い方法である。
日本で全く同じものを作ったら価格が5-10倍近くするし、納期がかかる。
国外なら標準機なのだ。下記のものでエアーブラスト作業者に置き換えれば
10人分に相当する。
作業者コスト 2.8万×10人=28万円/日


装置コストが1億の場合
357日毎日稼働させれば、元が取れる。月20日稼働で約1.5年だ。利益を考えれば倍の3年間はコンスタントに稼働しなければ無理だろう。
ただし、装置維持代、電気代などや消耗品コストは無視ししているのと、それだけ毎日物量がある前提である。少なくとも、100万円/日のブラストの仕事が無ければ経営的には無理だろう。日本の国内なら製鉄系などかなりの大手企業に限られる。

では装置コストが2000万の場合
72日毎日稼働、月20日稼働で約3.5か月、倍の7か月コンスタントに稼働すればよい。
7か月で元を取る必要が無いので例えば、3年間で元を取りたければ36か月なので
月の稼働数を1/5にしても十分安全である。

結論
中小企業でも十分ペイする装置コストの
2000万で海外から引っ張ってくればいいだけの事となり、実行の計画に移ったのである。