除錆度と錆度の違いの意味を知ることになるのが
防錆管理士になるための通信教育教科書の中で出てくる。
現在、日本でもインスペクターを養成する意味でとても重要な資格である、防錆技術学校の防錆管理士なのだが、専攻科がいくつもあり、どれか一つでも取得すれば防錆管理士となる。
海外のような、「ブラスト及びブラスト後の重防食塗装に特化した教育及び資格」は現在の日本には存在しないため、最もその内容に近い防錆塗装科もしくは防錆塗装別科を受講する。現在の日本ではこれ以上のブラストに関する資格は一切存在しないので間違いないようにしなければならない。
ブラストの現場における施工管理において、この資格制度はとても重要なので、年々受講者が増えている。今後更に難易度の上昇と実技試験を取り込むことと、ブラスト処理+重防食における専門知識に特化したステップアップ等級が必要とされる。
防錆管理士:重防蝕1級~3級のような感じになれば最高だと思う。
しかし、基本中の基本であるブラストの除錆度と錆度の理解の認識ができていない現場の状況に対応しなければならない。
ここでも、英語と日本語の翻訳の難しさが間違いを引き起こしている。
除錆度と錆度
この”除”があるかないかで意味が恐ろしく違うのだが間違いやすい、事実間違える人が多い。英語では
除錆度はsurface preparation standards
*表面処理規格(ここではブラスト処理)の度合い
錆度はrust grade
*錆の度合い
なので全く間違いようがない。
この手の専門用語をやたらに日本語に翻訳すると間違いが多いのでやめたほうが良いかもしれない。私もJIS Z0310を改訂しているときにISOの英語をJISの日本語に翻訳するのに苦労した。カタカナばかりだとJIS規格にならないし、誤訳は許されない。
例えば、北米では腐食穴をholidayと記述するが「休暇」などと翻訳すると恐ろしいことになる。
除錆度は本来直訳すれば「表面処理規格」か「素地調整度」であるはずなのだが
簡単に「除錆度」としたところにちょっとした、ひっかけ問題を作成しやすくしてしまっている。本来防錆管理士は弁護士のような国家試験ではなく”ふるい落とす”のが主目的ではない。「防錆における理解」が主目的である。
もう一つ、誤訳からくる認識の間違いは
Sa3、Sa2.5、Sa2という処理規格なのだが
例えば、下の表1除錆度の中のSa2「金属光沢66%以上」(*67%以上と切り上げて記載している資料もある)この「以上」が曲者である。
we require the surface preparation standards which is grade for Sa2
とさらっと書いてあったら実はSa2以上を要求しているので
Sa2.5でもSa3でもいいのである。
we require the surface preparation standards which is grade only for Sa2
we require the surface preparation standards which is grade for up to Sa2
というような表現をわざわざしてあれば別だが見たことがない、そんなに厳密な判断を現場でできないためである。(*反面、表面粗さを付記している場合は沢山ある。)
しかし、
we require the surface preparation standards which is grade only for Sa3
we require the surface preparation standards which is grade for up to Sa3
はあるし、意味も通じる間違いではない。
塗装仕様書が日本語に翻訳されるといつの間にか
we require the surface preparation standards which is grade for Sa2
が
we require the surface preparation standards which is grade only for Sa2
になっている場合がとても多い。
Sa2で処理してくださいの意味はSa2以上の処理度を求めているだけなのに
Sa2の写真通りに仕上げろとはどこにも書いていない。
こんな事がまじめに毎回起きているので
塗装仕様書のブラストの除錆度規格は全部Sa2.5以上と記載されることが多くなった。
Sa2.5以上といったら、Sa3しかないのでかなり現場では不可能な状況になる。
Sa3を本当の意味で恐ろしくまじめに処理するならば
圧縮窒素ガスでブラストするしかなくなるが、これは、そういう規格ではない。
とにかく、規格という物は原版をいかに崩さず翻訳し、理解するかが難しい。
*上記の除錆度上の数値パーセントは規格上の目安である。
例えば66%以上というのは本来2/3=0.666666...という理解するための翻訳である。