高圧ブラスト

2017年7月2日日曜日

フェロニッケルスラグ系研削材の循環再使用のシステム


元々、私個人的にはスラグ系研削材に対してはネガティブなイメージしかもっていなかった。理由はあまりにもテストデータがなく性能や溶出成分が未知であったからだ。
しかし、最近一部であるがクリアーになったので新たな道が見えた。

フェロニッケルスラグ系研削材の循環再使用のシステム

究極の低コストブラスト処理方法だが、現在まぁまぁ、これなら海外のブラストコストと対抗しながら品質保持も可能のぎりぎりラインという感じである。
というのは、この写真の装置はオーストラリアで元々屋外でブラスト後の研削材を大雑把に選別再使用する装置を輸入して室内向けにアレンジしたものだ。
現在はスチールグリッドにも適応させているが、本来は非鉄系に向いている。
この装置システムをブラストルーム化したのは、私が最初なのだが製造元パンブラ社はそれならということで大型の装置を開発してしまった。小さいから良かったのだが…
標準機だが大型

スチールグリッドは破砕しないので再使用にはいいのだが価格が高いのと一度汚染されると手が付けられない。特に「赤錆と塩分」は厄介で全量廃棄するしかない。
クリーンになるまで循環させればいいと思う人がいるが間違いで、全量クリーンになるまで空打ち込みさせ循環せるのに何日もかかる。また、選別できない装置が原因なのにそれを使っても意味がない。実際のところは、汚いスチールグリッドを使いまわしているのが現状である。
その点、フェロニッケル系研削材は元々、1回で使い捨てのつもりなのだから価格が安い。とにかく、研削材としては現在最も価格が安い。また、ブラスト処理後の鋼板に対する塗装後の塗料との密着性も問題ない事が証明された。(*第37回防錆防食技術発表会 参照)
ということは、今後のテーマとなるが、現在私の方で指導している段階ですが鉛や塩分がない場合のいわゆる、スチールグリッドをブラストルームで循環しているブラスト処理システムへの適応ができる。

高圧ブラストシステムを併用すれば、フェロニッケルスラグの完全なる再使用寿命は2回が限界となるが、低圧ブラストシステムでまだほとんどが使える状態で産業廃棄物として廃棄するよりははるかに経済的である。もし、研削材が汚染された場合は迷わず全量廃棄すればよいだけであるし、極めて清浄度が求められるブラスト処理品には初めからバージン材を投入すればいいだけである。2回使用すればほぼ、珪砂より研削材コストはトータル的に安価になる。これが、究極の日本式の日本独自のやり方であるはずだ。フェロニッケルスラグを研削材に使う国も元々日本しかないのだが、循環して再使用する国など更にない。下記のような安価な標準機で始められるのも日本ならではとなる。


小型標準機ガーネットクリーナー式ブラスト装置
循環型ブラストルーム フェロニッケルを投入する予定
フェロニッケルスラグ