高圧ブラスト

2017年8月3日木曜日

第440話 塗装、溶射におけるブラスト処理に関するデータの注意点 (ピーニングは含まない。)

以前から記載しているのだが、相変わらず国内の発表論文に関してブラスト条件が記載されていないことが多い。
ブラスト処理の場合、国内外必ず共通しているのが

1)ノズル先端の内径と圧力
2)研削材の種類と粒度 (規格記載か粒度分布表添付)
3)ブラスト距離と角度
4)ブラストバルブの開度と噴射量の実測値(ブラストバルブのメーカーと写真)

1)に関してはメーカーと形式記載。 粗悪品と良品では出口速度で2倍も変わる場合があるがそうするとエネルギーは4倍違うため結果が一致しない。
また、ブラストホースの長さと内径も付記すべきだが先端圧力記載してあればなくても同一の結果が得られる。

2)説明するまでも無

3)これは、作業者が手打ちの時は努めて維持させる。自動機の場合は必須。

重要なのは当然1)なのだが、全くデータにならなくなるのは4)が原因している。
ピーニング系のデータの場合はマグナバルブのようにフィードバック制御式を使用するので問題ないが、普通のブラストの場合はバルブの形状が各社ばらばらである。
世界的な流れでトンプソン型もしくはシュミット型が世界の6割以上を占めているので
海外論文では再現性に問題ないのだが国内はまだ全体の1-2%くらいなので海外論文と結果が一致しない。
トンプソン型バルブ

補足すると、国内ではよく”ブラスト試験片”なるものが使用されている。
販売品なので、ブラスト条件を一致させるために使用するのだが実戦向きではない。
このテストピースを使用した結果だと、条件が限定されてしまい実際の現場ではそのようなブラスト下地処理環境は作り出せないためである。
まず、基準となるデータ用にこの”ブラスト試験片”を使用するのは良いと思う。
しかし、他の研削材のブラスト試験片がないため、結果的には現場で再現性がないのである。国内論文を拝見すると往々にして、そうであるため現場では採用しても違う結果が出る。北米系の論文や記事に目を通すと1)~4)まで完全に書いてあるのはさすがに少ないが、研削材条件は多い。コールスラグとガーネットくらいは必ず平行テストしている。
グリッドで作成したテストピースはあまり採用しない。結果が良くて当たり前なのでやる必要がない。