高圧ブラスト

2017年3月26日日曜日

ブラスト実験 特殊ノズルの処理面への粗さへの影響 200mm幅ブラスト

先週テストを行ったが、依頼主との守秘義務上一切、テスト結果は公開できないし、今後も公開しないが、テスト後に全く違う構想が浮かんだので記載しておく。
記載に伴うバックデータは公開できないので、単純にブログとして記載しておく。

構想案

工場内ブラストは管理しやすく処理平米も計算しやすい。工場内で処理できないブラスト対象物の場合、ブラスト装置自体を素早く道路交通法のもとに装置車両を移動させ終了後撤収しなければならない。この際に最低の人員にて管理することにより装置維持コストへ負担を廻せる。できるだけ単位時間にて処理面積が稼げ、尚且つできるだけ小型装置であるブラスト装置を開発しなければならない。

具体的単位について

もし、現場でブラスト装置を車両に積載した状態で1時間に40m2ブラスト処理を行うとした場合最低ブラスト幅は200mm必要になってくる。この状態で分速3.34m以上で動かせばよい。コンプレッサーの台数の単位は北越PDS750Sを1台単位とすれば、Sa2.0で1台、Sa2.5で2台となる。時間当たりの平米数を80m2ブラスト処理として2倍→6.68m/分で行う場合もPDS750S→2台となる。ここでPDS750Sの重量が3.3トン×2で全長3650mmなので10トン車の9.2mボディ荷台に乗せられる。降ろす必要はない。
うまくいけば、最低平均50m2~ブラスト処理ができるので5時間で250-300m2できる。20kg/m2でスラグ系研削材をブラストとすれば5~6トン用意すればよい。
バキューム用ルーツブロアユニットは75~90KWクラス1台で十分なのでCB85桜×2式台+供給装置と共に別の10トン車に積み込める。基本的にはバキュームブラスト式を採用すれば回収の手間と粉塵抑制が同時に行える。後は、視覚判断型マニュピュレーター式ヘッドさえあれば無人でブラストできる。段階を経ながらやるしかないだろうが、そんなに難しくない。これにより、ブラスト作業者の健康管理問題から解放される。当然ブラストの当たらないところが出てくるのでそこだけ、国際ブラスト処理規格を理解している者がブラストする。一人で十分である。
とりあえず、年内に導入計画を進行させてみる。


小型連続ブラストユニットCB85桜4トン車に積載状態

2本ノズルをセットした状態

4本ノズルセットした状態

2017年3月25日土曜日

海外プロジェクト

元々、私が若い頃からやりたかった仕事は、海外にブラスト機を納入し軌道に乗せる事だった。時間が掛かってしまったがようやく、それが実現することになりそうである。
単純に日本で製作した装置を日系企業に納入するのは誰でもやれるし、すでに私自身もやっている。ここで、言うのはそのことではない。

日本で海外組と検討打ち合わせし、ブラスト装置の設計、貿易書類の作成は日本で行う。
製作と輸出までを海外協力会社が行う。現地試運転は我々のスタッフと海外協力会社が行う。

こんな事、みんなやっているようで案外、実はやっていない。

ユニクロとかの服関係などの単品ものなら当たり前の世界らしい。
トヨタも単品もの、しかり。
・・・が特注物の装置関係でやっている会社がどれほどいるのか?

これをようやくマスターしたので、享受できるようになった。

メリットは、海上運賃と関税とタンクの耐圧証明の壁の削減と除外。
タンクの耐圧証明は厄介で日本の規格は互換性が無くASME採用の国が
ほとんどである。ASME準拠でもASMEの計算書を添付しなければならないので
ここで大抵、日本の場合撃沈される。はじめからASME仕様で行けばいいのだ。

次に特注対応だがこれが最も難易度が高い。日本でも日本語が通じない人が多いのに
海外で特注設計を仕掛けるには英語能力とかだけではなく技術思考も要求される。

我々の場合、ユニクロや楽天と違い会社内の会話は日本語で行う。
社内書類は100%日本語である。
社外書類は5-6割英語である。

我々は外見上はブラック企業でいわゆる「意識低い系」である。
内面はホワイト企業で「意識高い系」である。
カナダ人が昔、「チョコアイス」と言うんだよと教えてくれた。
イギリス人が「ソルトペッパー」と教えてくれた。
誰でも知っている「バナナ」なんてくだらないレベルではない。
いずれも人種を揶揄したスラングだ。

このスラングをなぜ実践するかと言えば

     「美味しい」
からだ。















2017年3月16日木曜日

ブラスト処理方法の実験計画方法

来週からまたブラスト処理方法の実験立ち合いが始まる。
関東アスコンのメイン事業の一つであるので準備に余念はない。
相手先は研究機関なので実験計画方法は決めてくれるので大変楽である。
本来ブラストだけでなく技術職は世の中大抵、実験計画方法が全てを制すのだが
大抵うまくいってない。
特にブラスト関係はテスト条件がはっきりしない実験結果が多すぎて他所のデータはほぼ使えない。2倍以上の数値の開きが出ることが多く他所のテストデータは再現性がない。
何故そのようなことが起きるのかの原因はいたって簡単、「知らない」だけなのだ。

具体例でいえば
圧力を何MPaでブラスト条件にしたか?
この要素だけでほとんどの実験が「無駄な遊び時間」に期している
一体、どこの圧力を測定しているのか?
大抵、初歩的なミスでタンクのゲージを測定しているのであるが、これでは当然結果は2-3倍の開きが出る事を知らないのである。
この様な要素が100以上あるのだが知らないのでそのまま実験に突入している。

機械の設計というのは、「お絵かき」をすることではなく「実験と計算」だと極論を私に若い頃に教え込んでくれた先輩の言葉だ。
全くその通りである。
私は当時理科系の大学を出て博士号を取得することが人生の目標だったが、今思えば何とも馬鹿な青二才だった。大学院の入試に失敗し(そもそも推薦なしで無理である事すら知らないアホだった)仕方なしに晩秋にたった一人で就活を一回だけやって入社させてもらった会社である。その会社は現在、世界的に有名な開発をしている超優良企業でいくら頑張っても今なら絶対に入社させてくれないメーカーである。
入社試験は今でも覚えているが、専門試験が恐ろしく難しい内容で「自動制御理論」が選択であった。大学院の入試勉強で個人的には得意だった分野なのでたまたま手を付けたのだが正解は得られなかったと感じた。その後、その会社に入社して、人生において唯一たった一人の、その良き上司で先輩の人とお酒をよく飲みに行った。ある時、酔ってその先輩が「あの問題、俺が出したんだよ。専門は振動だからね。今まで誰もあの問題に触れた奴が居なくて、初めて果敢に解いてきたのがお前だったから覚えているよ。だから入社推薦したんだ。」と言われた。そのときは「ふ~ん」くらいで自動制御論が人生に役に立ったのはそれくらいだったような気がするが、それが私にとっての人生の大当たりだった。

あれから、30年も経過しその会社も退社して25年も経過した。その先輩も自力で工学博士を論文で取得されたようで現在は取締役になられている。当然その会社もその後、躍進し皆重役になっている。私はその時いた、たった5年間で残りの人生を食っているようなものだ。

装置設計は「お絵かき」ではない、「実験と計算」だ。
その当時に比べれば、ブラストの計算なんて計算なんてものではなく算数なのだが皆が嫌がる。それが、おかしな装置を世に送り込む結果となっている。
悲しいことだが、これが現実で今後も続くと思われる。もう少し、この産業が日の当たる分野として見いだされれば、良い技術者が育つであろう。







2017年3月10日金曜日

ブラストの筆記テスト 正答率  計算問題についての考察

巷では受験も終わり、春が訪れ始めています。

エアーブラストの装置の場合、英語が主体であるため関東アスコンのメンバーは英語の専門性への理解度がかなり高いのですが、物理的計算は非常に弱いことを認めざるを得ません。

ブラスト塾でも結果は同様でしたが、かなり簡単な問題も計算式含めて解答できていない感じです。

下記のような問題は極端に正答率が低い傾向にあります。
この問題は、文科系学生に対して「営業」の中でのFAQに対する応対を求めているので、圧縮性固気二相流体の専門知識を問いていません。

流体速度をニュートン力学(中学生の物理)的に考えればいのですが。

これが正答できないと、ブラストホースの販売はほぼ不可能であり、ユーザー側も何の為にブラストホースを購入しているのかわからないはずなのですが


問題.  10

ブラストホース内径φ25と内径φ19の各20mを使用する場合、耐磨耗時間の単純比較をしたとき、どちらが何倍の速度で磨耗すると考えられるか。コンプレッサー、研削材、ノズル、ブラストタンクなどの条件は同じとする.流体の圧縮性、境界層などは全て無視して良い.一般的な質問に対し理論的に解答せよ。計算式も併記せよ



15年位前にも、当時はブラスト塾ではなくてブラスト勉強会などをやっていましたが
当時からもやはり、計算が皆さん苦手なようなので最近はやっていません。
それで良いのか? 

下記は以前の内容の一例です。現在はレクチャーしてません。
15年くらい前なのでMPa表示ではなくKgf/cm2
です。





2017年3月7日火曜日

ブラスト塾 終了 

1年間、通じたブラスト塾が終了しました。
最後に300点満点の2時間筆記試験を行いました。
200点越えはベンチマーカーが1名と塾生から1名でした。
難易度的には中級なのですがNACEレベル3以上、SSPC C7よりはかなり上でのブラスト知識が必要としました。計算問題が少し多かったので苦戦したようですが計算問題をこなさなければブラスト処理は基本的にはできないはずなのです。

ブラストマンの視点と脳を

「今、この状態で僕は毎秒***m/sでスチールグリッドを毎分**Kgでブラストしてるんだから、表面粗さRZ JISで**μmキープしている。現在処理面はSa2.5だが、Sa2で仕様はOKなので投射密度を落とすために処理速度を**m2/分に変更するためにノズルをSN156-***へ変更し圧力を先端圧力0.85Mpaへセットし直すように釜番(POT KEEPER)へ伝達しなければならないな。開度はトンプソン5から6へ」

にさせることにありました。

私はこの25年間
エアーブラスト=圧縮性流体力学の噴流現象としてしかとらえていませんので、それに関した考え方をブラスト塾に盛り込みました。
結果は受講生方々上々のはずだったと思います。