高圧ブラスト

2017年3月16日木曜日

ブラスト処理方法の実験計画方法

来週からまたブラスト処理方法の実験立ち合いが始まる。
関東アスコンのメイン事業の一つであるので準備に余念はない。
相手先は研究機関なので実験計画方法は決めてくれるので大変楽である。
本来ブラストだけでなく技術職は世の中大抵、実験計画方法が全てを制すのだが
大抵うまくいってない。
特にブラスト関係はテスト条件がはっきりしない実験結果が多すぎて他所のデータはほぼ使えない。2倍以上の数値の開きが出ることが多く他所のテストデータは再現性がない。
何故そのようなことが起きるのかの原因はいたって簡単、「知らない」だけなのだ。

具体例でいえば
圧力を何MPaでブラスト条件にしたか?
この要素だけでほとんどの実験が「無駄な遊び時間」に期している
一体、どこの圧力を測定しているのか?
大抵、初歩的なミスでタンクのゲージを測定しているのであるが、これでは当然結果は2-3倍の開きが出る事を知らないのである。
この様な要素が100以上あるのだが知らないのでそのまま実験に突入している。

機械の設計というのは、「お絵かき」をすることではなく「実験と計算」だと極論を私に若い頃に教え込んでくれた先輩の言葉だ。
全くその通りである。
私は当時理科系の大学を出て博士号を取得することが人生の目標だったが、今思えば何とも馬鹿な青二才だった。大学院の入試に失敗し(そもそも推薦なしで無理である事すら知らないアホだった)仕方なしに晩秋にたった一人で就活を一回だけやって入社させてもらった会社である。その会社は現在、世界的に有名な開発をしている超優良企業でいくら頑張っても今なら絶対に入社させてくれないメーカーである。
入社試験は今でも覚えているが、専門試験が恐ろしく難しい内容で「自動制御理論」が選択であった。大学院の入試勉強で個人的には得意だった分野なのでたまたま手を付けたのだが正解は得られなかったと感じた。その後、その会社に入社して、人生において唯一たった一人の、その良き上司で先輩の人とお酒をよく飲みに行った。ある時、酔ってその先輩が「あの問題、俺が出したんだよ。専門は振動だからね。今まで誰もあの問題に触れた奴が居なくて、初めて果敢に解いてきたのがお前だったから覚えているよ。だから入社推薦したんだ。」と言われた。そのときは「ふ~ん」くらいで自動制御論が人生に役に立ったのはそれくらいだったような気がするが、それが私にとっての人生の大当たりだった。

あれから、30年も経過しその会社も退社して25年も経過した。その先輩も自力で工学博士を論文で取得されたようで現在は取締役になられている。当然その会社もその後、躍進し皆重役になっている。私はその時いた、たった5年間で残りの人生を食っているようなものだ。

装置設計は「お絵かき」ではない、「実験と計算」だ。
その当時に比べれば、ブラストの計算なんて計算なんてものではなく算数なのだが皆が嫌がる。それが、おかしな装置を世に送り込む結果となっている。
悲しいことだが、これが現実で今後も続くと思われる。もう少し、この産業が日の当たる分野として見いだされれば、良い技術者が育つであろう。