高圧ブラスト

2017年11月26日日曜日

458話 近未来のブラスト処理の方法

巷ではよく近未来に無くなる職業は?と言うトピックがあるが、日本においてはエアーブラスト処理方法は作業者=人間がやる事が無くなる、減少する職業であると断言できる。当然すべてではないが、8割は必要なくなる。更に輪をかけて減少するの職業として「インスペクター」である。今まで100年間以上「ブラスト処理」は行われていたので「ブラスト処理」が無くなる可能性は低いがブラスト処理を行うブラストマンは必要なくなるだろう。30年以内に日本国内では半減する事は間違いないと言える。逆に新興国などのブラスト処理自体がまだ未開な国では盛んに今後30年以内に作業者によるブラストが増えるだろう。世界でも日本は特に品質とコストが高い国と言われてきているが、近年検査などを怠ったり、改竄して問題となっている。これは今後確実に改められるだろう。そもそも検査自体を人間にやらせること自体が無意味極まりない事で世界に比較して群を抜いた日本の自動車メーカーの技術者が最終検査の人間チェックの阿保らしさを認識しているからであり、更に我々日本国民がそのニュースを聞いても何も感じていないことが証拠だ。
話は元に戻るが、ブラスト処理及びピーニング処理は全て規格ないし、それに準じた処理だけを求められているので作業者によるブラスト処理が自動化されたブラスト処理に勝ることは決してない。なぜならば、そこまでの超人的な品質を求められていないからだ。
単純に”コスト”だけを比較しているだけなのだ。作業者<<ロボットなので現在は成り立っているだけでロボットのコストが低くなった時点で逆転する。特に日本が世界で一番早い国になるだろう。日本ほど歴史的に移民や外国人を受け入れない国は類を見ないしその反面これほど文化レベルが高い国はない。世界一ロボット化が進みやすい国である。似たような国の第二にはイスラエルがある。世界中のユダヤ人移民で成立した国家であるところが日本と全く正反対である。しかし、周囲を反イスラエル国家で固められており状況は最悪だが恐ろしく軍事技術レベルが高い。戦闘要員としてのイスラエル人一人の命が重いからだ。周囲の国家はイスラエル人が一人でも少なくなれば攻め入ることができる。それをイスラエルは超人的な技術力で人間の少なさをカバーしている。とにかく、コスト度外視でロボット化や無人化を進めている。我々日本人とは状況が違い過ぎるのだ。しかし、日本もこの生易しい状態が長続きする保障は何もない。日本の現在は無駄に人口が多いが近い将来、若者の人口が減少することが決定している。老人が多くなるから医療及び介護産業が盛んになるのだがこれは避けれない。本題に戻るが現段階でも明白な事実であるブラスト処理作業の自動化及びロボット化及びAI化である。先駆けとしては現在スチールグリッドやアルミナを使用しているエアーブラストルームと言われる作業者が防護服を着て中に入ってブラストするタイプのものはロボットに全て入れ替えなければならなくなる。そもそも作業者がやっている意味が全くないし品質も作業者の方が悪いことが明白である。更に近年は、労働安全基準監督署への集塵機設備の設置関する届け出の際に地域差はあるが指導指摘が厳しくなってきている。具体的には通常、局所排気設備の適用除外事項としてブラストルームを設置する際に申請するのだが、

「防護服や防塵マスク、防塵面などをかぶって、なぜそんな作業を人間にやらせるのか?それは認められません。」

と言われた。世界中の日本以外の全ての先進国でもエアーブラスト作業のブラストルームは認められており法制化もすべて完了して安全に作業化されている。特にエアーブラストルームは研削材自体鉄製のスチールグリッドを使用し被ブラスト物も鋳物製なので有害ではない。当初は私も意味と意図が解らなかったが暫くして意味が解ってきた。これは労働基準監督署の担当の人の見解ではなく日本の社会的な感覚の判断なのであろうと。長年ブラストに関する仕事をしていると一般人からすれば異様な作業風景もごく自然な作業風景に見えてくる。そこで私もハッと思い始めてしまった。覚醒した感じだ。ブラストにおける大半の問題は作業者が絡んでいることが多い。品質、作業に関する安全面、有害物質に対する暴露、など。近未来の日本の工場内でのブラスト処理を行わなければならない会社においてブラスト作業者が一人も必要ないと言える。ブラストノズルもφ17-19mmでコンプレッサーも300-500馬力を用意すれば文句も言わずに昼夜問わず24時間作業するし、そもそも照明も集塵機も必要ない。もう空想の世界ではなく現在の技術でできてしまうのである。コストが少し高いだけである、スマホの繁栄を30年前に誰も想像できなかったように30年後のロボットコストは想像できないが高くなることはない。今後はブラストの上手い下手を競ってる場合ではなく理論的に噴射速度と削食角度の研究やブラスト研削材一粒のエネルギーによる研究をすべきである。